第40号 金利2%の定期預金に近いもの /「異次元金融緩和」は有効だったのでしょうか。
【一口家主をもう少し詳しく】
金利が2%の定期預金があれば皆様飛びつくでしょう。特に老後のために資金を用意していて運用に悩んでいる方はなおさらでしょう。ところが、金利2%の定期預金に近いものがあるのです。それが「安心」「安全」を第一に考えた「一口家主iAsset」です。
(*本稿に関連し本商品のリスクについて詳しくお知りになりたい方は弊社担当まで問合せ下さい。)
金利が2%の定期預金が現れたら
もし、金利が2%の定期預金が現れたらどうしますか。日本の銀行で日本円です。
先ず、殆どの方はよその銀行に預けている預金をそちらに移すでしょう。
次にかなり多くの方は、運用中の投資信託や株式を見直して一部を解約するなり、売却するなりしてこの定期預金に資金を振替えるのではないでしょうか。
なぜこのような行動をとるのか?
安心だからですね。
殆どの方はお金を「安心して」「増やしたい」のです。
老後に備えて、現在持っている資金の運用に悩んでいる方はなおさらです。
資産運用で「安心」とは
では、資産運用で「安心」とか「安全」とはどのようなことを言うのでしょうか。多分次の三つだと思います。
(1)運用期間中に予定した利息(配当)がきちんと入ってくること。
(2)運用の途中で元本が無くならないこと。
(3)運用を終えるときに元本が減らないで戻ってくること。
では、いわゆる投資商品はこの三つに対応できているでしょうか。
(1)予定した利息(配当)がきちんと入ってくること
例えば株式を考えてみます。配当狙いで大型安定株を買ったとします。本当に安心でしょうか。配当は企業業績に左右されます。いくら良い会社でもその期の業績により減配や無配になったりします。
(2)運用途中で元本が無くならないこと
株式やREITなどの証券出資型の商品では、その事業を行っている会社が倒産したら投資した元本は殆ど戻ってこないでしょう。投資したお金はその会社の財産として扱われ、優先権のある債権者が回収してしまうからです。
(3)運用終了時に元本が減らないこと
お金が必要になって株を売らなければならない、投資信託の満期が来た、そういう時に株価や投信の価格などが下がっていれば元本は減ってしまいます。いわゆる元本割れをしてしまいます。
「一口家主iAsset」はどうか
「一口家主i Asset」は、2%の定期預金を望んでいるタイプの方のために開発した商品です。「安心」「安全」のためにコストをかけているので、ものすごく高い利回りではありません。しかし、手取りで2%以上を確保しています。その上で三つの条件にほとんど対応しています。
(1)お客様に支払う賃料は借上げ保証になっているので、仮に空室期間があっても満額きちんと支払われます。
(2)お客様が購入された共有持分は、お客様の名義で登記されます。お客様の財産ですので、仮に当社に万が一のことがあってもお客様の財産として保全されます。
(3)運用期間は5〜6年で終了します。このときマンションの評価額が20%以上下がっていなければ購入した元本は保証されます。また、一時的な相場変動に左右されない物件評価方法になっています。
【やさしい資産運用のお勉強】
今、戦後2番目に長い景気回復期の最中にあるそうですが、大幅な賃金の上昇も、2%のインフレターゲットも達成されていません。アベノミクスに呼応した日本銀行による「異次元金融緩和」はまだ継続されていますが、何れは来ることになるその出口が懸念されます。
実感なき好景気
2002年2月から2008年2月までの73ヶ月が戦後最長の景気回復と言われます。他方「実感なき好景気」とも言われました。今回もいざなぎ景気超えの景気回復だそうですが、前回と全く同様で、1900年代後半の好景気の時に見られた企業の活発な投資や従業員の賃金の大幅な上昇は見られません。明らかに当時とは何かが異なると思わざるを得ません。
世界的な経済成長の行き詰まり
資本主義経済はその発展の終焉に来ているとする経済学者がいます。最早世界的に経済に拡大の余地が少ないので需要が起きない、企業は投資をしない、資金需要はない、金利は上がらない、という循環が続いているということです。たしかにわが国でも1991年のバブル崩壊以来「失われた20年」も過ぎ、「失われた27年」になりつつあります。企業の内部留保は増えていますが、従業員の給与は殆ど上がらず、経済成長や物価、金利は低迷したままです。
異次元の金融緩和とは
2013年4月に日本銀行は「異次元緩和」として①マネタリーベース(世の中に出回るお金+銀行が日銀に預けている当座預金)の増加、②長期国債買入れの拡大と年限長期化、③ETF・J-REITの買入れの拡大を図りました。しかし前年比2%上昇のインフレターゲットは達成できず、2016年1月にはマイナス金利の導入までしました。しかし、未だに目標は達成されていません。民間企業の投資の活発化も賃金の大幅な上昇も起きていません。
異次元金融緩和がもたらすもの
一方で、「異次元金融緩和」の副作用が懸念されます。株式に関して言えば、中央銀行が株式を購入するのは禁じ手と言われ、欧州でも米国でも避けてきました。しかし、日銀はそこに踏み込みました。2010年に年間4,500億円から始め、今では6兆円のETF(上場投資信託)を買い入れています。残高は約27兆円といわれています。このままのペースで続けると19年末には株式市場の5%は日銀が持つことになるそうです。民間の自由な取引による株価形成がゆがめられるという問題があると同時に、もっと怖いのは出口です。いずれは金融緩和の縮小をせざるを得ないでしょう。その時に株式市場はどうなるのでしょうか。日銀が株式を売りに転じ、ほぼ同額を持っているとされる外人投資家がそれに乗ったら大変なことになります。
先日ある証券会社が、日本の株価回復は出遅れているので今買えば安心と、日経平均にリンクして償還額が決まる仕組債を奨めていましたが、安心どころではないと思われます。株価は長期的には右肩上がりというのはもはや過去の話ではないでしょうか。
大量に買い入れている長期国債、J-REITも同じことが言えます。
投資判断は慎重に
上で株式の例を挙げましたが、長期間にわたり大量に買い入れた国債の出口はどうなるのでしょうか。2012年末に発足した安倍政権による3本の矢は、日銀の「異次元金融緩和」に拠るところが多く、それとても本来短期間の救急措置であるべきものが既に5年続いています。その副作用が色々でてきそうです。プライマリーバランスの黒字化も遠のきました。何が起きてもおかしくない時代です。慎重な投資判断が必要です。