第59号 「一口家主iAsset」の開発の背景 / リートとはどんなものか
【一口家主をもう少し詳しく】
「一口家主 iAsset」の第1号商品コンシェリア早稲田GF605号室の事業開始が2013年11月1日です。ちょうど6年経ちました。この商品を上市後、不動産を小口化して販売し、その運用益を分配するというタイプの事業が増えてきました。今回は実物不動産小口化商品の草分けともいうべき「一口家主 iAsset」の開発の背景をお話しします。
バブル崩壊後の超低金利時代の到来
ずいぶん古い話になって恐縮ですが、日本経済の高度成長期と言われる1970年代中頃から1990年にかけて郵便貯金(定期)の利息は7.5〜3.5%ありました。ところがその後漸次低下し、1990年代後半から1%を切り2000年以降はほぼゼロに近くなってしまいました。定年後は年金と現役時代の蓄え及び退職金の預金利息で第2の人生を考えていた人にとって完全に計算が狂ってしまいました。
「貯蓄から投資へ」とあおられたが
このような状況で政府もマスコミも「貯蓄から投資へ」との風潮を煽りました。しかし、2008年のリーマンショックで多くの株式投資家は損失を被りました。バブル崩壊とリーマンと2回にわたって被害を受けた方も少なくありません。投資信託でも同様に元本毀損のうえ銀行や証券会社の手数料がかさみ何のための投資だったかという方も多くおられました。
今という時代の特徴
1.世界規模での経済成長の鈍化
2.先進国の超金融緩和のよる過剰流動性の横溢
3.ボーダーレスなマネーの流動
簡単に言えば、
①先進国を中心に低経済成長で、デフレ状態が続いている。
②これを成長軌道に乗せるために金融緩和をして資金供給を増やしている。
③しかし、そもそも低成長経済の下では資金需要が少ないから、増えたお金は余って金融市場に溢れてしまう。
④溢れたお金は利益を求めて国境を越えて世界中の金融市場に出入りする。その結果為替や株価は政治や国際紛争等の予測し難い原因で乱高下する。
つまり株式や投資信託への投資は非常にリスクが高いという事です。
安全性の高い資産運用はないか
株式や投信への投資はリスクが高い、預貯金や国債はほぼゼロ金利、という状況で、せめて2〜3%の利回りで配当及び元本の安全性の高い投資商品はないか。これに対する数少ない解のひとつが不動産投資です。しかし、不動産投資には多額の資金が要ると同時に賃料や元本の安全性確保のためには物件の選び方などの知識や経験が必要になります。
安全性が高く簡便な不動産投資商品
クレアスライフのマンション、コンシェリアシリーズは東京都心の好立地なので、入居率が高く、物件価値も下がり難いのが特徴です。これに加え不動産に慣れていない方にも安心していただけるよう一層安全性を高めること、また小額からでも購入できることに開発のポイントを絞りました。こうして生まれたのが「一口家主 iAsset」です。この商品をかつての定期預金や国債の感覚で活用していただけたら開発者としては望外の喜びです。
また、この7月よりコンシェリア JAssetを上市しました。この商品は不動産投資に慣れた方やコンシェリアをよくご存じの方向けに「一口家主 iAsset」よりも仕組みを簡素化し、利回りを高くしています。
【やさしい資産運用のお勉強】
今年に入ってからリートが急騰しています。高利回り商品が少ない中で比較的安定した不動産収入を配当の原資としている点が買われているのかもしれません。リートは不動産運用商品ですが、不動産そのものではありません。リートとはどんなものかをご説明します。
REIT(リート)とは
リート(REIT)はReal Estate Investment Trustの略語で文字通り不動産投資信託という意味です。このREITという仕組みはアメリカで生まれ、日本では2001年3月に東京証券取引所にJリート市場が開設されて9月に最初の2つの投資法人が上場されました。従って生まれてからまだ18年です。JリートのJはJapanの意味です。(以下、Jは省略します。)
リートの仕組み
簡単に言えば投資家からお金を集めて不動産を買い、その不動産から得られる賃料や不動産を売買して得られる利益などを投資家に分配する仕組です。
この事業を行う主体を投資法人と言い、投資家が出資するために購入する証券を投資口と言います。株式会社の株式のようなものです。また、投資法人は不動産を所有して、そこから生じる賃料を集め、投資家に分配金を払う一種の箱のようなものです。実際の不動産取引(運用不動産の売買など)は資産運用会社に委託します。
リートは通常銀行などから不動産購入金額の50%程度の融資を受けます。これにより分配金の利回りが高くなります。この融資に対する利息の支払いや融資の返済は投資家への分配金よりも優先されます。
リートと通常の実物不動産投資の相違
*1リートは証券取引所で常時売買され、株式などと同様に世界的政治・経済の動きや国際紛争等に影響されて元本が乱高下することがあります。
*2リートは有価証券であり実物不動産ではないので資産圧縮効果(節税効果)はありません。
*3投資法人には倒産リスクがあります。一般的に倒産の際は投資元本の回収は困難となります。
どちらをを選ぶかはお客様の目的次第
実物不動産とリートにはそれぞれ長短がありますが、お客様が何を重視するかによって変わってきます。例えば相続や生前贈与の際に資産圧縮をして節税を図りたい方は、リートを買っても何の役にも立ちません。実物不動産を買わなければなりません。投資もまた目的に応じて選択が変わります。
上表の◯印の項目は、手軽で安全性の高い資産運用に重視される項目です。
因みに「一口家主iAsset」は上表の◯印の全ての項目に当てはまります。つまり、手軽で安全性の高い運用のために通常の実物不動産とリートの良い処取りをしていることになります。