第61号 小口化アセットの種類 / 2020年オリンピック・イヤー

新年おめでとうございます。この通信は今月号より表のページは模様替えしました。今月は新年号ですのでおめでたい表紙としました。来月からはiAsset、JAssetで募集する物件の詳しい情報をご提供していきます。本年もよろしくお願い申し上げます。

【不動産の小口化アセットあれこれ】

このところ不動産を小口化した資産運用商品が増えています。どのタイプの商品を選ぶかはお客様の目的や、運用する金額によっても変わってきます。この欄では今年もそのような選択をする上で少しでもお役に立つことを願って不動産の小口化アセットのご説明をしていきます。今月号は小口化アセットの種類についてご説明します。

不動産の小口化アセットの種類

ある不動産の複数の投資家が投資をし、そこからあがる収益の分配を受けるタイプものをすべて不動産の小口アセットとする広義の場合と、不動産自体を共有持分として保有する狭義の場合とがあります。広義には皆様おなじみのリート(REIT)なども含まれます。
また、狭義の場合は不動産特定共同事業法で定められた、「任意組合型」や「賃貸型」の商品がそれに該当します。

小口化アセットをご説明する際には、不動産特定共同事業法は避けて通れないので、先ずそれについてご説明します。

不動産特定共同事業法とは

一言でいえば不動産の小口化商品に投資する人を保護することを目的とした法律です。これは、バブルの崩壊とともに経営基盤の脆弱な業者の倒産等によって投資家に被害がもたらされたことによる反省に基づくものです。

不動産特定共同事業とは、不動産会社などが、小口化して複数の投資家に販売した不動産や投資家から出資金を募って購入した不動産を、賃貸運用などをして、そこから得た収益を投資家に分配する事業のことを言います。
この事業を投資家保護の観点より国交省・都道府県などの監督官庁の許可制にしたのが不動産特定共同事業法です。許可を取得するにあたっては不動産特定共同事業者(以下、事業者)の資本金等の財務内容、人的構成、法律に基づく契約内容の規定など厳しい審査があります。

不動産特定共同事業の3つの形

①任意組合型商品
投資家が不動産の共有持分を任意組合に出資して、事業者にその不動産の運用を委託するもので、実質的に投資家が不動産を所有する形の商品です。共有持分ではなく金銭出資をする形もあります。

②匿名組合型商品
投資家が匿名組合に金銭出資を行い、その出資金により事業者が不動産を取得して、運用益を投資家に分配する形です。取得した不動産の所有権と資産運用の執行権は事業者に帰属します。

③賃貸型
不動産の共有持分を有する投資家が、その共有持分を事業者に賃貸して、持分に応じた収益の分配を受ける形の商品です。賃貸しても、その共有持分は登記上も投資家名義として変わりません。

実物不動産以外を小口化した商品

不動産特定共同事業以外で不動産の小口化商品としては、リートや私募ファンドがあります。これらは不動産そのものではなく、主として不動産の信託受益権を事業の対象とします。なお、私募ファンドほとんどが法人向けのものです。
「従って個人の投資対象となる小口化不動産は、実物不動産の不動産特定共同事業3類型とリートの4種類になります。」

次回以降、投資する際の参考になるよう具体的にそれぞれの商品の仕組みと特徴、長所・短所等についてご説明します。

【やさしい資産運用のお勉強】

いよいよ2020年オリンピック・イヤーとなりました。不動産を所有している方、不動産に関心をお持ちの方にとってポスト・オリンピックの不動産市場の動向は大変気になるところでしょう。オリンピック後は「東京の不動産価格は下がる」、「賃貸物件の空室率は上がる」という論調が多くありましたが、果たしてどうでしょうか。筆者の見解をお示しします。

オリンピック後を懸念する論調

下記は、評論家や不動産に関心をお持ちの方の間でよく聞かれた話です。

①オリンピック後は東京の不動産価格は下がるに違いない。オリンピックに向けての建設ラッシュで建築資材や人件費が高騰し物件価格が高くなり過ぎ。オリンピック後はその反動で下がるに違いない。

②オリンピックに向けてのインフラ等の投資で過熱化した景気がスローダウンし、経済活動がシュリンクする。そのため不動産需要は減退し、賃貸物件の空室率が高まり、不動産価格は下がる。マンション等の住居も同じ傾向になるだろう。

東京の不動産はオリンピック高なのか

マンションの価格を見てみるとここ数年上昇傾向です。問題はこれはオリンピックがあるための一過性のものなのかということです。確かに建築資材の一部には、オリンピック需要で高騰したものもあります。
しかし、もう少しマクロ的に見ると、東京一極集中によってタイトさを増す土地の需給バランス、都心各所で行われた再開発、わが国全体に関して言える熟練建設労働力の不足等々、東京或いはわが国の構造的要因によるところが大きいと思われます。

オリンピックがこれらの要因を加速させたかも知れませんが、東京の不動産価格がオリンピック要因で一時的に高くなったとは考え難いのではないでしょうか。オリンピック後に上記の構造的要因が解消されるとは思われないからです。

ポスト・オリンピックの東京

①成熟国型経済と発展途上国型経済
オリンピック後の景気の低迷・悪化を心配する声を聞きます。しかし、それはオリンピックを機にかけた費用とその国の経済規模によります。例えば1988年の韓国ソウルの時は、オリンピック関連施設だけではなく、これを機に諸インフラを含むくソウル全体の都市再開発を行いました。これらに使われた資金は同国のGDPに対する割合は小さくなく、この後の韓国経済は低迷しました。
他方、2012年のロンドンオリンピック後に英国経済が大きく低迷したという話は聞きません。オリンピックに要したコストの対GDP比率が大きくなかったからです。
今回の東京もおそらくロンドンと同様と思われます。

②国際都市東京の進展
オリンピックを機に外国人に便利なソフト面およびハード面のインフラが整い、観光都市として、また欧米企業のアジアにおけるビジネス拠点として東京の国際化が一段と進むことでしょう。これは東京における不動産の需給バランスを益々タイトにします。

③続く再開発
オリンピック後も品川地区をはじめ都内の大型再開発が続きます。また国家レベルではリニア新幹線工事が品川から名古屋、大阪へと進んでいきます。

以上のようにポスト・オリンピックを原因としたわが国経済の低迷や東京の不動産市況の悪化は考え難いと思われます。

【不動産特定共同事業許可番号:
東京都知事第94号】
不動産特定共同事業法とは、不動産特定共同事業の健全な発達と投資家の利益保護を目的とした法律であり、事業を営むには主務大臣(国土交通省)もしくは都道府県知事の許可が必要です。
「一口家主 iAsset」は株式会社クレアスライフが賃借人として、オーナー様と賃貸借契約(不動産特定共同事業法第2条第3項第3号の不動産特定共同事業契約)を締結します。