67号 利回りについて / 不動産特定共同事業について

【不動産の小口化アセットのあれこれ】≪利回りについて≫

投資商品などを較べるときに「利回り」を⼀つの指標として考えます。◯◯%という数字 だけを並べてみると⾼いものが良いように⾒えます。しかし、⼀⾒利回りが⾼くても実は リスクも⾼いかもしれません。あるいは、⼀時的には⾼い利回りですが、安定的に続くか どうか分かりません。必要な経費を差引いていない表⾯的な利回りかもしれません。利回 りを⽐較するときは数字⾯だけでなくその数字の背景を充分調べることが重要です。

リスクのチェック

【例1】⾼利回りの新興国国債

10%台とか20%台というものがあります。しかし、そこにはカントリーリスク(償還するための経済的・政治的安定性)と為替リスク(償還時にその国の通貨が円に対して安くなっていないか)があります。 ⼀番怖いのはデフォルト(債務不履⾏)が起きて、元利を失ってしまうことです。

【例2】⾼利回りの中古不動産

不動産の利回りは、収益÷物件価格です。利回りが⾼いのは収益に対して物件価格が安いからです。安い物件というのは、修繕や維持のための費⽤を充分にかけていない場合があります。このような物件を買うとそのあとで苦労することになります。修繕費⽤はかかる、売るときは⼆束三⽂になっ てしまう、ということになりかねません。

安定性、継続性のチェック

【例1】株やREIT

株やREITでは配当は⼀定でも価格は絶えず動いています。元本評価次第で利回りは絶えず変動していて、売却するまでは本当の利回りは分かりません。

【例2】賃貸物件のクオリティー

賃貸⽤のアパートやマンションでは物件価格を安くして利回りを上げるために建築費を低く抑えたものがあります。このような物件でも新築の中は他の良質の物件と同等の賃料がつきます。しかし、古くなってくると建物としての差が歴然としてきて家賃を下げないと空室を埋められなくなります。このような物件を買うと安物買いの銭失いになってしまいます。

収益の中⾝のチェック

【例1】投資信託の⼿数料

投資信託では売り買いの度に⼿数料がかかります。⼀⾒収益がある様でも⼿数料を差引いたら結局マイナスだったという話をよく聞きます。⼤切なのは、収⼊から全ての費⽤を差引いて幾ら残ったかということです。

【例2】不動産の賃貸に要する経費

不動産の本当の収益は、家賃から全ての賃貸経費を差引いたものです。

利回り=収益÷物件価格ですから、
利回り=(家賃-全ての経費)÷物件価格であるべきです。

ところが、下記のものも利回りと呼ばれています。

利回り=家賃÷物件価格
利回り=(家賃-管理費・修繕積⽴⾦のみ)÷物件価格

まとめ

リスクが⾼いもの低いもの、⼀時的なもの安定的に継続するもの、実際は必要な費⽤をフルに⾒込んだもの⾒込んでないもの、それらを⼀⾔で利回りと呼んで⼀列に並べて⽐較しても意味のないことはお分かりだと思います。
特に不動産の場合は、⽴地の良し悪しや新築か中古か、建物のクオリティーの良し悪し等を勘案して判断することが重要です。好⽴地のハイクオリティーの新築物件は⼀⾒利回りが低いようでも⻑期的には安定的な収益が得られます。価格も下がり難く値上がりするものもあります。結局購⼊した物件の⽣涯の利回りとしてはこちらの⽅が良くなることが多いでしょう。

【やさしい資産運⽤のお勉強】≪不動産特定共同事業について≫

コロナ危機での世界各国の中央銀⾏による⼤量の資⾦供給で益々低⾦利化が進んでいます。安全資産である銀⾏定期預⾦や国債は極端に利回りが低く、⼀⾒利回りの良いものはリスクが⼀杯です。そういった中で利回り・リスクともに中庸なのが不動産投資です。その不動産投資を⾝近なものとし、⾏い易くしたのが⼩⼝化商品です。今後資産運⽤の⼀つとして増えていくものと思われます。その中で中⼼になるのは不動産特定共同事業による商品です。

不動産特定共同事業法誕⽣の背景

1980年代後半から不動産⼩⼝化商品が供給され始めました。その中にはバブル崩壊と共に経営基盤の脆弱な業者の倒産等によって投資家に被害をもたらすものが頻発しました。そこで、投資家をこのような被害から守るために、1994年に成⽴したのが不動産特定共同事業法(以下「不特法」と⾔います。)です。
不特法の要点は不動産特定共同事業を⾏うための資格要件等を厳格に規制し、許可制にしたことです。噛み砕いていえば経営基盤等の脆弱な業者は許可をせず事業をできないようにしたものです。

不動産特定共同事業とは

不動産業者(事業者)が何⼈かの投資家から出資⾦等を募って不動産を購⼊したり、或いは投資家の持つ不動産の持分を借り受けたりします。そして、その不動産を運⽤し、それから⽣じる家賃収⼊を投資家に分配するといった事業です。この事業では、

①事業者が、投資家からの委任を受けて対象となる不動産を⼀括して運⽤する
②投資家は不動産の運⽤を任せた事業者から運⽤収益の分配を受けるだけ

つまり、投資家は出資等を⾏いさえすれば、あとは全て事業者がやってくれます。

許可取得のための主な要件

不動産特定共同事業をおこなうには、国⼟交通⼤⾂或いは都道府県知事の許可(*)が必要です。許可取得のためには、

①資本⾦が1億円以上であること
②財産及び損益の状況が良好であること
③事業を公正かつ的確に遂⾏できる⼈的組織構成であること

等々の要件があり、許可が下りるまでには数ヶ⽉にわたる審査があります。要は事業者はお国のお墨付きを貰います。

(*)平成29年の法律の改正で⼩規模事業に関しては登録制になりました。

不特法の規制を受けない⼩⼝化商品

不特法は実際の不動産の運⽤について適⽤される法律なので、運⽤対象が不動産そのもので無い場合は適⽤されません。例えばリートです。リートの場合、不動産そのものは信託会社に信託されていて、リートはその信託受益権の運⽤をしているので不特法の対象となりません。また私募不動産ファンドなども殆どが信託受益権の運⽤となっています。

今後増えると思われる不特法商品

リートは証券取引所に上場されているため株式と同様元本の変動が激しく、継続的に安定収⼊を確保したい資産運⽤には向きません。個⼈の安定資産運⽤に向くのは不特法商品だと思います。不特法商品の中では、以前は匿名組合型が主流でしたが、匿名組合型は投資家が不動産そのもの(共有持分)を取得するものではないため、相続税評価の際の資産圧縮効果がなく、また、⾃⼰名義の登記もされないので、事業者が破綻した場合は出資⾦の回収は困難になります。これからは「⼀⼝家主 iAsset」の賃貸型コンシェリアJAsset任意組合型のような現物不動産取得タイプのものが増えていくと思われます。

任意組合型・匿名組合型・賃貸型の内容については61号 62号 63号 64号をご覧ください。

【不動産特定共同事業許可番号:
東京都知事第94号】
不動産特定共同事業法とは、不動産特定共同事業の健全な発達と投資家の利益保護を目的とした法律であり、事業を営むには主務大臣(国土交通省)もしくは都道府県知事の許可が必要です。
「一口家主 iAsset」は株式会社クレアスライフが賃借人として、オーナー様と賃貸借契約(不動産特定共同事業法第2条第3項第3号の不動産特定共同事業契約)を締結します。