72号 「⼀⼝家主iAsset」の⽣い⽴ち / 年⾦と⽼後の資産運⽤
【不動産の小口化アセットのあれこれ】≪「⼀⼝家主 iAsset」の⽣い⽴ち≫
バブル崩壊後の2000年頃から銀⾏の定期預⾦⾦利は1%を割り込みました。その後も下がり続けて現在はほぼゼロに近くなっています。国債もほぼそれに準じています。投資のリスクを避けて定期預⾦や国債で資産を増やしていた⽅には⼤打撃です。そういった⽅々のために不動産という安定度の⾼い材料を使って、何よりも安全を第⼀とした資産運⽤の道具を提供したいと願って開発したのが「⼀⼝家主 iAsset」です。
前からあった不動産運用商品
不動産投資は以前からありました。典型的なものは賃貸用のワンルームマンション投資です。しかし、これは手持ちのお金の運用というよりはローンを使っての資産形成という意味合いが強いものでした。
そうした中で1999年に住友不動産(株)がサーフという商品名の不動産小口化商品を、2005年には東京建物(株)が同様のインベストプラスを発売しました。いずれも不動産特定共同事業法の「匿名組合型」商品で、狙いは定期預金や国債感覚のものと言っていいでしょう。
匿名組合型商品の仕組
匿名組合型商品というのは、次のようなものです。
①事業者(例えば住友不動産)が投資家から出資金を募る
②その資金で不動産を購入する。(所有権は事業者のもの)
③不動産を賃貸して得られた利益を投資家に分配する
④満期が来たら事業者は出資金を投資家に払い戻す
匿名組合型商品の安全性を高める仕組
①事業者が20~30%の劣後出資をして、満了時に物件価格が20~30%以上下がらなければ出資元本は毀損せず(優先劣後構造)
②分配金は投資家に優先的に支払われる
③満了時の物件価格の評価は、事業期間中の平均収益を契約で事前に定めた一定の還元率で割り返して算定する(収益還元法)
*事業期間中の平均収益を使うので評価額が当初の価格よりも大きく下がるリスクは小さい
匿名組合型商品の弱点
安全性という観点での匿名組合型の弱点は事業者の倒産リスクです。
投資家の出資金で購入した不動産は事業者の所有物として登記されるので、事業者が倒産した場合、出資金は殆ど戻ってこないと考えた方がよいでしょう。
事業者倒産リスクの回避
「一口家主 iAsset」が定期預金や国債に準ずるような高い安全性を確保するには、上記の弱点を改良しなければなりません。
そこで考えたのが不動産特定共同事業法の「賃貸型」の採用です。
賃貸型商品(「一口家主 iAsset」)の仕組
①事業者は開発したマンションを共有持分として小口化して投資家に販売する
②投資家が購入した共有持分は投資家名義で登記される
③事業者は全投資家の共有持分を借上げて1住戸として賃貸する(借上げ保証付)
④不動産を賃貸して得られた利益を投資家に分配する
⑤満期が来たら事業者が共有持分を買い取る(優先劣後構造あり)
「一口家主iAsset」の利点
①投資家の持分は事業者から隔離されているので事業者の倒産によるリスクは回避
②借上げ保証のため賃料のリスクが少ない
③優先劣後構造、収益還元法による物件価格評価法も採用(元本毀損リスクの最小化)
*安全性とは関係ないが、共有持分は実物不動産なので相続や生前贈与の際節税効果がある。また小口なので遺産分割に有効
【やさしい資産運⽤のお勉強】≪年金と老後の資産運用≫
昨年、老後の経済生活にとって改めて考えさせる二つのことがありました。60歳で年金の他に2,000万円必要との金融審議会の報告書、そして公的年金財政検証。現在水準の年金でも老後の生活には不十分なこと、しかも年金は減る方向にあること。人生100年を普通の生活水準で全うするにはなるたけ長く働き、資産を上手に運用するしかないというのが帰結のようです。この1年間皆さまどの様な準備、あるいはアクションを取られたでしょうか。
年金問題
2003年に当時の厚生労働大臣が「年金100年安心」なることを言いました。あたかも年金で安心して老後生活を送れるような印象です。しかし実際は「年金制度が100年存続できる」ということ、そのためには保険料のアップ、支給開始年齢の引き下げ、支給金額の引き下げ等何でもありのようです。これでは年金を受け取る国民はちっとも安心ではありません。
年金を補填する資金と運用
特別倹約も贅沢もしない老後夫婦の生活費は月35万円程度と言われています。年金は平均で22万円程度ですから、月額13万円、年額156万円不足です。
65歳で3,500万円の資金があった場合、毎年156万円ずつ取崩したら22年後、つまり87歳で底をつきます。
他方、毎年156万円を取崩しながらその残金を3%(単利)で運用すると35年後、100歳でもまだ400万円余が残ります。
つまり、65歳時点で3,500万円あり、それを取崩しながら3%で運用すれば100年人生を普通の生活水準で過ごせることになります。改めて運用の重要さが分かります。
老後の資産運用
上例に即して考えると老後の資産運用には次の3つがキーワードです。
①安全性が高いこと
②長期間安定的に運用できること
③必要なときに部分的に取崩せること
●この条件を完全に満たすのは銀行預金や国債ですが、リターンがほぼゼロなので運用になりません。
●変動が大きいうえに超金融緩和で過大評価の株式や為替リスクを伴う外国債権、外貨預金等は①、②の条件に当てはまりません。
*評論家やファイナンシャルプランナーは、長期・積立・分散として外貨建て商品やパッシブ型投信などを、また積立NISA、iDeCoなどの非課税制度の利用を勧めます。しかしそれらは一般論であって①,②を念頭に具体的に推奨できる商品はあるのでしょうか。また分散は減らさないための手法で、積極的に増やすための手法でありません。
●①、②、③の条件をほぼ満たすもの
具体的には不動産、それも次のような条件を備えたものが該当します。
(他にもあるかもしれませんが、今筆者は思いつきません。)
都心の小口化されたマンションの所有権
・都心:価値が下がりにくい、元本割れリスク小
・小口化:部分的に取崩し可能
・マンション(住居):賃料が景気変動などの影響を受けにくい
・所有権:購入先の倒産によるリスクなし
「一口家主 iAsset」「コンシェリア JAsset」はまさにこれらの条件に該当する商品です。実物不動産なので相続対策にも有効です。
お知らせ
この「小口化アセット通信」(旧、「一口家主通信」)は本号を含め6年間72号を大島が執筆してまいりましたが、本号をもちまして一休みさせていただくことになりました。来月からは他のスタッフが執筆します。引続きよろしくお願い申し上げます。
尚、「一口家主iAsset」「コンシェリアJAsset」
のお客様には大島がまた別の形でお便りさせていただくことを予定しております。