第8号 不動産特定共同事業法とは?/「為替」の話
【一口家主をもう少し詳しく】
不動産特定共同事業法とは?
「一口家主」はこの法律に基づいて開発された商品です。その意味は?
この法律はなぜ生まれたのですか?
1987年頃から不動産を小口化した投資商品が供給され始めました。ところがバブル崩壊と共に経営基盤の弱い業者の倒産等によって投資家に被害をもたら しました。そのため法律で規制して投資家を保護するために生まれたものです。
どのような規制ですか?
投資家から出資を集め不動産事業を行い、その不動産事業から生まれた収益を投資家に分配する事業を許可制にしたのです。つまり許可を得た特別の業者でなければそのような事業は行えないように規制したのです。
だれが許可するのですか?
ひとつの都道府県内の営業所で事業を行う場合はその都道府県知事です。 ふたつ以上の都道府県にある営業所で事業を行う場合は国土交通大臣です。
許可を取得するのに必要な条件は?
色々ありますが主なものは、
- 宅地建物業の免許を持っていること
- 資本金が1億円以上であること
- 会社の財産の内容が法律で定めた基準を満たしていること
- 会社の役員が法律で定める要件を満たしていること
- 法律で定めた要件を満たす業務管理者がいること
- 投資家と結ぶ契約書の内容が法律定める基準に合っていること
- 許可申請時の決算で利益が出ていてそれ以降も良好な推移が見込まれること
- 事業を公正・適切に行えるような人的・組織構成であること
このように厳しい審査をクリアした者だけがこの事業を行えます。当社が申請してから許可取得まで8か月かかりました。
「一口家主」の他に不動産特定共同事業を行っている会社はありますか?
代表的な会社と商品名は
- 住友不動産「サーフ」
- 東京建物「インベスト・プラス」
です。両者とも「匿名組合型」といい、事業者が所有する不動産に出資をするタイプですが、「一口家主」は「賃貸型」と言い、対象不動産が投資家自身の所有物となるのでそれだけ安全性が高められています。
●この通信の第1号~第4号で、「一口家主」の元本安全の仕組みについてご説明してきましたが、それに加えて不動産特定共同事業法の厳しい審査を経て許可を取得した会社であり、契約内容であることがお分かり頂けたものと思います。 バブルを経験された方の中には「一口家主」を当時のいい加減な会社によるいい加減な商品と同一視される方がいますが全く別物なのでパンフレット等をお読みいただきよく確かめて頂きたいと思います。
【やさしい資産運用のお勉強】
外貨建ての商品は要注意
外貨の定期預金、外貨の国債等「定期預金」とか「国債」という字面では安全そうですね。
下では単純な例を挙げましたが、実際の商品では日本国債などと一緒に外貨建てのものを巧みに組み合わせたりした商品があるので気を付けてください。
ブラジル国債年利11%!
国債で11%。魅力的ですね。国債といえば安全そうだしそれで11%もの金利。ブラジルといえばBRICsと言われる新興経済発展国の一つ。オリンピックも開かれるしまさかブラジルという国が潰れることもなかろうし。買おうかなと思う方もいらっしゃるでしょう。
しかしちょっと待ってください。どういう仕組みになっているのかリスク・チェックをしてみましょう。
ブラジル国債に投資してみたら・・・
仮に2014年の4月に既発債を100万円分買ったとします。この国債はブラジルの通貨であるレアル建てなので円をレアルに換えなければ買えません。この時、1レアル(RL)=46円だったので100万円=21,739RLの国債が買えました。
さて、2015年3月に償還日(満期)が来て元本21,739RLが戻ってきました。今度はレアルを円に換えなければなりません。この時1RL=37円に下がっていました。元本は804,343円になります。
11%の利息は1年分で2,391RL=88,467円になります。これを元本に加えると
ということで、結局10万円以上損をしてしまいます。これ以外に為替売買の手数料や証券会社の手数料もかかっています。
為替は怖い
上の例で円をレアルに換えること、或いはレアルを円に換えることを「為替」と言います。そして1レアル46円のように一つの通貨を他の通貨に交換する割合を「為替レート」と言います。上の例ではレアルでは11%の利金が付いたのですが、為替レートが20%も下がったため円に戻すと損をしているのです。このように円とは別の通貨(外貨)で運用すると必ず為替が絡むので、国債や定期預金でも為替レートの変動による元本変動リスクが発生してしまいます。
なぜ為替は怖いのか
為替というのは二つの通貨の交換比率ですから、理論的には2国間(米ドル/円であれば日本とアメリカ)の金利差、インフレ率、貿易収支、経常収支などの経済の基礎的条件の違いが反映されるのですが、外に他国での金融不安、国際政治問題、地域紛争等々全く予測不能な原因で変わります。特に近年先進国各国によるデフレ克服のための金融緩和策で過剰流動性が投機資金となりこの動きを激しくしています。