99号 ~「不動産クラウドファンディング」型の商品の特徴と注意点~

最近、不動産小口化の中で盛んになってきているのが「クラウドファンディング型」と言われる、事業者が投資家から資金を集めて不動産を取得し、賃貸や売買を行った上で賃貸料や売却益を投資家に配分する方式です。
事業者が投資家からお金を集めて不動産を運用する方法自体はかなり前から存在しますが、クラウドファンディング型の特徴としてはインターネット上で全てが完結できることが大きな特徴で、これは2017年に行われた不動産特定共同事業法が改正(電子取引業務の解禁と参入要件の緩和)されたことで盛んになりました。

【クラウドファンディング型の特徴】

クラウドファンディング型は、前述のインターネット上で完結できる他には下記のような特徴があります。
・期間は短期間なものが多い(3ヶ月~1年程度のものが多い)
・見た目の利回りは高め
・所得は雑所得に分類される
・金額は比較的少額から行える(1万円から投資できるものが多い)
・優先劣後方式(事業終了時、投資家が事業者より先に償還を受けられる)が採用されている
端的に言えば、お手軽に不動産に投資できることがポイントと言えるでしょう。
(※)事業者によっては上記に当てはまらない商品も存在しますが、本記事では一般的に販売されている上記特徴に当てはまる商品(匿名組合型)を「クラウドファンディング型」として説明します。

【問題点やリスクは無いのか?】

クラウドファンディング型商品はお手軽さの反面気を付けなければいけない点もあります。
大きく分けて「所有権が無い」ことと「利回り」についてです。

①所有権が無いことのリスク
登記がされる所有型投資商品に対し、ほぼ全てのクラウドファンディング型商品の所有権は事業者にあります。そのため仮に事業者が破綻した場合、元本の回収は非常に困難になります。

②利回りについてのリスク
クラウドファンディング型の利回りは比較的高めで、中には7~8%といったようなものもありますが、高い利回りにはその分リスクもつきものです。ここでは2つの例をとって説明します。

A:投資家の出資金以外に、金融機関から借入をして事業を行っている場合

借入がある場合、優先劣後方式による元本償還の順位は①金融機関②投資家③事業者となります。つまり、優先劣後方式が採用されていても、投資家は最優先に償還が受けられるわけではないことを注意しておく必要があります。
例えば金融機関からの借り入れ分50%、投資家出資分(優先出資)40%、事業者出資分(劣後出資)10%で優先劣後方式を採用している場合、値上がり等があれば問題はありませんが、事業者出資分(劣後出資)以上の値下がりになった場合は、まず金融機関に最優先で償還をするため損失分は投資家を直撃することになります。(詳細は下図をご覧ください)

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金融機関からの借り入れの割合が大きいほど投資家の損失割合は増加します。

B:値上がりして売れること(売却益)を前提に利回りを高く設定している場合

一般的にキャピタル重視型あるいはキャピタルゲイン型などと呼ばれています。
この場合、事業開始時より値上がりして売れなければ利回りの想定は大きく崩れます。

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例えば上図のように、3,000万円の案件を3,600万円で売却することを想定し利回りを設定しているケースが該当します。
言い換えると、値上がり想定額である600万円の一部を投資家に還元することを前提に利回りを高くしているということです
この場合、想定通りに値上がっていれば良いのですが、値上がりしない場合や逆に値下がりとなった場合は当初の利回り想定が大きく崩れてしまうことになります。

【お手軽ではありますが、見極めは重要です】

クラウドファンディング型の商品の構造は複雑なものも多いです。特に上記AやBの仕組みになっている場合、見た目の利回りは非常に高くなっている場合が多いですが、見た目の利回りに踊らされずに重要事項説明等でリスクをきちんと把握しておくことが重要となります。
また、不動産を所有するわけではない為、事業者が破綻した場合における元本部分の根本的なリスクが存在します。検討する場合は事業そのものだけではなく、事業者についてもよく調べておいた方が良いでしょう。

当社小口化商品「一口家主iAsset」や「コンシェリアJAsset」の所有権は投資された方にあります。仮に当社グループに何かあった際にも皆様の所有権(持分)が侵されることはありません。一喜一憂せず安心してじっくりと運用をされたい方にはぴったりの商品といえます。

【不動産特定共同事業許可番号:
東京都知事第94号】
不動産特定共同事業法とは、不動産特定共同事業の健全な発達と投資家の利益保護を目的とした法律であり、事業を営むには主務大臣(国土交通省)もしくは都道府県知事の許可が必要です。
「一口家主 iAsset」は株式会社クレアスライフが賃借人として、オーナー様と賃貸借契約(不動産特定共同事業法第2条第3項第3号の不動産特定共同事業契約)を締結します。